ご紹介する事例は、「個人投資家の声」分析である。昨今上場企業の株主総会においても個人株主の動向が注目されるようになった。従来機関投資家の動向に留意し、意向を取り纏めておけば、大きな意思決定について間違いはなかったが、2007年2月の東京鋼鉄の総会では、投資ファンドが大阪製鉄との統合に反対を表明。多くの個人株主も同調し、経営側が決めたM&Aが総会で否決される日本初の事例も起きた。
こうした風潮から、IR関連業界においても、個人投資家の動向をウオッチする一環として、彼らの本音を分析したい、というニーズが多く寄せられた。
ここでは、株式会社ゲインが保有するQ-Voiceモニター約20万人の会員の中で、株式投資を行っている(行っていた)人を対象に、株式を購入する際の重視ポイントについて、FA(自由回答)で回答してもらった。
調査票は下記の通り。

ご覧になっておわかりのように、自由回答1問+属性項目5問という非常にシンプルな調査票である。
本調査により得られた回答の主要ポイントを下記にご紹介する。 |
まず、自由回答と性・年代のクロス分析結果について。
上段が20代男女、30代男女。下段が40代男女、50代男女である。


自由回答で第1位の「高配当で儲かるものを購入する」という意見は、各年代の女性において、あまり重視されていないことがすぐにわかる。とくに20代、40代の女性は、ほとんど高配当志向を持っていないともいえる。その反面女性に多いのは「株主優待のあるもの」「安定していてリスクが少ないもの」「価格が安く、割安感があるもの」を購入するといった意見である。女性の購入動機ポイントが明確に見えてくる。
一方男性は、30代、50代の男性を中心に高配当志向が強い。男性の中でも40代男性は一味違う志向をみせており、「業績や経営状況のよい企業のもの」「将来性や成長性のある企業のもの」を購入すると答えている。40代は育児・子育てなど最も出費もかさむ時期であり、そうした背景が他の年代とは違う回答を引き出しているとも考えられる。 |
次に自由回答と投資経験・投資金額とのクロス分析結果について。


先の男女差ほど明確ではないが、1年未満の投資家が「将来性・成長性」及び「安定性」を重視しているのに対して、3年以上の投資経験を経ると、だんぜん「高配当」志向になることが伺える。
TextImiを活用することにより、具体的事例に見るように、FA1問でもクロス分析により、ユーザーのプロファイリングが可能になってきた。このことは、詳細で緻密な調査設計によることなく、有意義な調査結果を得る手法のあり方を示唆しており、プロの設計でなくとも、こうした手法により、従来得られなかった回答を得ることが可能になったことを示している。 |